尚弥くんは欲しがるまでは手を出さない
- 作家
- 虹森ゆりた, THE猥談
- 発売日
- 2022-12-26
- 価格
- ¥385
- ページ数
- 47ページ
- レーベル
- THE猥談
作品紹介
マッチングアプリで男を転がして遊ぶのが、私のマイブーム。ヤリたくて必死な男たちを焦らしに焦らし、犬みたいに夢中で追いかけてくる姿を見るのがたまらなく面白い。セックスなんてただの暇つぶし。誰かを本気で好きになることなんて、もうないと思っていた。だから、いつも通りにゲームを楽しんで、飽きたら捨てるだけ。そう、思っていたのに。 今回出会ったのは、年上の尚弥くん。穏やかで優しくて、いかにも誠実そうな人。もちろん、彼も私のゲームの駒にするつもりだった。デートを重ね、家に誘い、わざと隙を作ってあげる。いつでも手を出せる状況を何度も用意したのに、彼は一向に私に触れてこない。「明日も仕事でしょ」なんて言って、紳士的に帰ってしまう始末。かれこれ二ヶ月、キスすらしない関係が続いていた。 おかしい。優位に立っていたのは私のはずなのに、どうしてこんなにヤキモキしてるの? 気づけば、彼の好きな料理を覚え、会える日を心待ちにしている自分がいた。焦らされているのは、私の方だった。そして、ついに堪えきれなくなった私は、彼に問い詰めてしまう。「何のために私と会ってるの?」と。そして、口から滑り落ちたのは、自分でも信じられない言葉だった。「ずっと…待ってたのに」 その瞬間、空気が凍りつく。私の言葉を待っていたかのように、尚弥くんの優しい仮面が剥がれ落ちた。「尚弥くんと、何? 続けて?」穏やかだったはずの瞳が、冷たく私を射抜く。ああ、そうか。この男、私と同じなんだ。私がしたくてたまらなくなるまで、ずっと、ずっと私を焦らしていたんだ。私が初めて「欲しい」と口にした時、支配者と獲物の立場は、音を立てて逆転した──。